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店長日記

2008/09/27 (土)

学校には出せない読書感想文C 「獄窓記」山本譲司著

2000年9月に秘書給与詐取事件で、1年6ヶ月の実刑判決を受けた衆議院議員の事件から投獄そして出所までを描いた手記。
私は山本譲司氏を良くは知らないが、手記を読んだ印象では非常に真面目な、良く言えばクリーン、悪く言えば青臭い感じの議員さんだったのだと分かる。
彼が刑期をまっとう出来たのは、彼が自称する楽天的な性格、青臭いまでの真面目さで、看守や他の受刑者を味方に出来たからだろうと思う。もちろん、元国会議員という肩書き故の特別扱いもあっただろう。しかし、では自分ならどうだろうかと考えると、彼と同じようにやれるとは思えない。というより、自分がそこにいる事を想像したくない。そう思うほど、この手記で描かれている塀の中の生活は厳しい。日本の刑務所は世界のそれと比較して過ごし易いと聞いていたが、やはり、一般人は罪を犯す事無く無事天寿をまっとうした方がいい。
と、そこまで言えば著者の面目躍如という所だろうが、元国会議員という職業柄なのか、塀の中の生活、人間模様が事細かに書かれているが、それが生々しく伝わってこない。自分と「同囚」や看守との間に一線を引いているように感じる。服役中は同囚や看守と一緒に汗や汚物にまみれながら生活してきたのが、刑期を終え、時間が経つにつれ、そのようになっていったのではないかと私は思うが、著者は否定すると思う。しかし、当然苦悩はあった筈である。実刑判決を受けた後も彼には人としてプライドがあった筈だ。それが粉々になった時、有り余る時間の中で彼が何を考えたか、もっと内面の葛藤を書いて欲しかった。スリ傷に塩を塗り込むようなヒリヒリするような人と人との緊張感とかが、もっと直に迫っても良かったと思う。
しかし、刑期を終えた今、彼が国会議員としての復活ではなく、「障害者の授産施設やグループホーム」それも「出所者を積極的に取り入れる施設」の運営を夢描いているとあとがきに書いていたのに心動かされた。やっぱり、彼は勉強熱心で青臭いほど真面目なひとだったんだと。
ぜひ、この夢を現実のものにしてほしい。


2008/09/20 (土)

学校には出せない読書感想文B 「ゆれる」西川美和著

本屋でこの本を手に取った時も、読んでいる時も、読み終わった後も、僕はこの小説を否定したくて仕方ない。
田舎の家業を継いで父と二人で暮らす兄と、対照的に東京でカメラマンをしている弟。二人は特に仲が良くも悪くもなく、一定の距離を保ちつつもやってきた。それが幼馴染の女性の死をきっかけに関係が揺らぎ始める。
僕自身、家業を継いでおり、僕の町にもそういう方々が大勢いらっしゃる。小説にある町のイメージは、僕の町とそう変わらないだろう。
僕個人の意見だが、家業を継ぐというのは相当の覚悟がいる。失敗すれば何もかも捨てて夜逃げするしかないからだ。過去の記憶さえも。
真面目一本で家を守ってきた兄が、こういう描かれ方されるのは、正直不愉快だ。自分のみならず、家業を頑張っている人達が馬鹿にされた気持ちにさえなる。前述の否定したくなるとは、そういう事だ。だから、この小説で、兄弟は悲惨な運命を辿るが、どうかこのまま終わらないでくれと、祈るような応援したい気持ちになっていた。
実際にこういう事件があったら同情すらしないだろうが。
ところで、先ほど悲惨な運命と書いたが、それは兄弟だけではない。ここに登場する全ての人が、全て若しくは何かを失う。一人は命さえ奪われているのだ。そんな「奪いっぱなし」の悲惨なストーリーなのに、前途は真っ暗なのに、ラストシーンが清々しいのだ。
本を読み終わって、こんなに清々しい気持ちになるのは久し振りだ。
このラストシーンの為に、このストーリーがあったのだとさえ思う。
そう考えると、この小説を否定する気もしなくなった。


2008/09/16 (火)

学校には出せない読書感想文A「こどもの一生」中島らも著 

ブックカバーにある粗筋によると「三分の二は笑いに溢れ、最後の三分の一は恐怖に引きつる」という事だったが、最初の三分の一で、正直「これは読み切るまで時間がかかりそうだ」と思った。その晩も「眠くなるまで(30分ぐらいが限界かな)」と思ってページを開いたのだが・・・
一晩で解説まで一気に読み切ってしまった。最後の三分の一からの、それまで吉本的なお笑い路線(失礼だな、俺って)から反転して、一気に雪崩のような恐怖シーンの連続となる展開はすごい。トイレに行くのも億劫な程だった(行けなかった?)。
そのストーリー展開、反転、展開という仕方といい、残虐&アクションシーンといい、映画っぽいなと思ってたら、舞台用の脚本を小説化したものだった。なるほどね。舞台でならドッと笑えるやり取りも小説にするとイマイチ・・・いや、というより、真ん中の三分の一あたりは、まぐろ解体用包丁、薪割の斧、チェーンソーといった如何にもなアイテム、あからさまな伏線に、笑うに笑えない緊張感が漂っていたからで、面白くない訳ではなかった。
ところで、子どもの無邪気さ故の残虐性に着目した映画は多くある。僕が観た映画、William Golding 原作 Harry Hook監督の「蠅の王」もそうだ。24人の男の子が無人島に不時着し生活を始める。救助期待薄の状況での非日常な生活に、子ども達は子ども故の無邪気な暴力性を発揮し始め・・・という映画だった。そんな展開かと思いきや。
全然。
「こどもの一生」は、映画で言うならB級ホラー。書いた本人もそう言うてはるし。主義主張があるでなし、ただ笑わせて、恐がらせる事に徹したかのような小説。でも、展開を予想すると、恐くて笑えない。だって中島らもですから。普通には終わらないですよ。
ついでに、結末も「そんなのあり?」という感じでB級ホラー的でした。


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